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小説「ブレイブ・ストーリー(上)」

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ゲーム好きということでも知られる、宮部みゆきの著した小説「ブレイブ・ストーリー」。この小説は、上巻・中巻・下巻の3冊で完結なのですが、今回読んでみたのは一番初めの上巻です。映画にもなったのでご存知の方も多いかと思いますが、僕自身は観ていないので単純に小説版のみの感想です。

この上巻では、主人公である三谷亘(みたに わたる)の父親が突然離婚すると言いだし、家庭内が相当混乱するところから始まります。彼は、この理不尽な運命を変えたいと思い、廃墟ビルにある幻界(ヴィジョン)へとつながる扉をくぐっていくことを決意します。幻界には、「運命の塔」という場所があり、そこに1人でたどり着くことで運命を変えられるのです。人間の想像力によって作られた幻界は、実際の世界とは全く違い世界。そんな何も分からない世界を、亘はその世界の住人の助けを得ながら旅をすることになるのでした。

やはりまだ上巻なこともあって、SFらしい世界観が現れるのはこの本の後半になってからです。わりとそれまでは、離婚騒動に巻き込まれてしまう可哀そうな子供のおはなしと言った感じなのですが、ここもそれほど冗長な感じはしないです。視線がいかにも小学生らしく書かれているので、亘がどんなふうに感じているのかがすごく想像しやすいですね。とても可愛らしいです。

幻界に旅立ってからは、なにかのRPGゲームのような展開になっています。このあたりはゲーム好きの人にとってはすごく入り込みやすいでしょうね?。中巻以降、どんな物語になっていくのかがとても楽しみです。

小説「ゆるい眠り」

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本屋さんの入口に平積みされていて読んでみたのがこの「ゆるい眠り」。江國香織の短編集で、淡い恋愛体験を題材にした作品が収められています。

タイトルにある「ゆるい眠り」というお話は、結婚している耕介と不倫関係にある「私」が別れてから立ち直るまでのストーリーです。「私」は、耕介のところに新聞配達をしていた高校生とその弟に慰められ、癒されながら、どれだけ耕介が大切な存在だったかを知ることになります。耕介の妻に嫉妬し、眠れない日を過ごす彼女の姿はかなり切ないです。最後はぜひ報われてほしいと思わずにはいられなかったですね。イタズラ電話を通して、耕介と無言の会話をするシーンは、本当に切なくなってきます。

他にもさまざまな作品がありますが、僕の中で印象的だったのは「災難の顛末」というお話。さっき紹介した「ゆるい眠り」は、最後はきれいな形で終わっていますが、この作品はちょっと後味が悪いです。ストーリーのあらすじとしては、結婚直前とまで言われた今日子が飼い猫からノミをもらってしまい、だんだんと壊れていくというものです。最後まで読むと、今日子自身の本当の姿が見えてきてしまってすごく悲しくなります。誰かに愛されている自分自身が好きっていうのが分かるシーンを見ると、やはり落胆してしまいますね。できればこんな感じで終わりにはなりたくないですね。

本当に数ページで終わってしまう作品もあったりして、「あれっ」と思うかもしれませんが、たまにはこんな感じのさらっと読める本を読むのも全然悪くないですね。いろんな形の恋愛があって、けっこう楽しめる本だと思います。

小説「パイロットフィッシュ」

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ふと本屋さんに寄ったときに買ってみた小説です。大崎善生が2001年に著した作品で、人が過去に抱いた感情は時を経ても変わらないことをストーリーの軸にしています。

このストーリーで出てくるのは、アダルト雑誌編集者の山崎と、その山崎と昔付き合っていた由希子です。その二人の稀有な出会いから、今の生活に至るまでの複雑な過程が書かれています。ストーリーは由希子が山崎に久しぶりに会いたいと連絡してきたところから始まります。由希子は結婚していて、子供もいるのにどうして今?と疑問に思う山崎なのですが、そこは断らずに会うことになります。

そこからどうして2人が出会ったのか、どうして付き合うことになり、そして別れることになったのかが明かされていくことになります。この過去の出来事もなかなかすごいのですが、それだけではなく19年も立ってお互いの環境もだいぶ変わったのに、重要なことだけは変わらずに彼らを取り巻いていること。やっぱりスウェーデンのロックバンドの話とかは印象的ですね。そのバンドは男2人、女2人で仲良くやっていたんだけど、女の子の1人がもう一人の女の子の彼と一緒に寝てしまって。彼をとられてしまった女の子は心の底から苦しかったんだけど、その思いが歌になってさらに多くの人に支持されることになって…。多くの人に支持されることになった女の子か、男に愛されることになった女の子のどちらが幸せなんだろうっていう問いかけはとても考えさせられます。

自分自身が大学生ということもあって、このストーリーにはすごく共感させられました。山崎の生活は今の自分にはできないことばかりでちょっと憧れるし、こんな感じの恋愛もしてみたいかも?しれないです。でも、彼氏を取られてしまった女の子のように、自分ではどうしようもないところで別れがやってきたりするのはつらすぎます。由希子も子供もいて本当なら幸せに過ごしていてもおかしくないのに、実際はそうじゃない。これもかわいそうです。過去から今まで続く因縁ともいうべき出来事は、これからも由希子を苦しめることになるんでしょうか。

人は一度出会ったらもう別れることはできない。記憶という深い湖にその人のことは沈んでいて、消えることはないから。とても印象的な小説だと思いました。

小説「TRICK」

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友人から以前、おもしろいよと勧められて読んでなかった小説「TRICK」をやっと読み終わりました。かなり前にドラマでもやっていて非常に盛り上がっていたようなのですが、全然見てないので小説のみの感想を書いておきます。

この小説「TRICK」は、堤幸彦が監修した小説です。マジシャンの山田奈緒子と物理学者の上田次郎のでこぼこコンビが、超能力者の行う事件を次々に解決していくというものです。上田は、空手や少林寺拳法をしていてやたらと強いのに、超能力と称したトリックにはかなり弱くて、何回も翻弄されてしまいます。そこで、マジシャンの山田奈緒子が頭を使ってトリックを見破っていくパターンが多いです。

ここで取り上げられているトリック、かなり奇怪なものが多いですw これはきっと小説だからできるというようなトリックもあって、本格派ミステリーよりはちょっとずれているような気がします。でも、テンポ感がよくて分かりやすく書いてあるので、親しみやすい小説ではあると思いました。

そんなわけで、トリック自体に着目するよりは全体的なノリの良さを体感したほうが楽しめそうだと思いました。また機会があれば続編も読んでみることにします。

小説「セーラー服と機関銃」

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半年ほど前にドラマにもなっていた小説「セーラー服と機関銃」。赤川次郎が執筆してすでに30年以上も経つのにこれほどまでに話題になっているのは、タイトルの異様さと内容の奇抜さにあるのではないかと勝手に思っています。どう考えてもセーラー服を着た人が機関銃を持つという図は思い浮かびませんよね。

僕はドラマの方は観てなかったので、うまく比較することはできないのですが、とりあえず小説の方の感想を書きます。本のタイトルからも予想できるかもしれませんが、高校生の星泉(ほし いずみ)が突然暴力団の組長になってしまいます。この辺の展開の意外さも驚きながら、そこから見せる星泉の肝のすわった行動がかなりすごい!組長という肩書を持った瞬間、本当に一暴力団の組長になったかのような度胸を見せつけていきます。こんな高校生ってなかなかいないですよね。

最後はなんとか事件も解決して普通の生活に戻って行くんですが、ここでの星泉はすごく人間っぽいというのか、義理深い一面を見せてくれます。ここまで繊細かつ大胆な感覚の持ち主はそうそういないと思うんですが、それほど違和感もないのが不思議です。

全体的にはすごく読みやすくて、分かりやすいストーリーだと思いました。また、事件の全貌が分かってくると、前半ではよく分らなかった部分も完全に理解できるようになるので、もやもやも残ることなくすっきりと読み終えられるのではないでしょうか。

小説「ラッシュライフ」

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伊坂幸太郎氏の作品もそろそろ半分ほど読み終えて、彼の作品の共通点みたいなものがようやくつかめてきた気がします。今回読んでみた「ラッシュライフ」も、これまで読んできた作品とどこか似た雰囲気があって、とても親近感がわいてきます。

伊坂幸太郎氏の作品では、複数のストーリーが同時進行して最後に解決することが多いのですが、この「ラッシュライフ」では、それぞれのストーリーの時間がかなりずれて始まります。つまり、あるストーリーの最後と別のストーリーの始まりが本当はつながっているんですが、書かれている場所は本編の最初と最後というように、最後になってようやくストーリーの全体像が分かるという仕組みになっています。そんなわけで、初めのうちは全く別々のストーリーが書かれているかのように見えますが、最後の最後でうまく完結します。まるで、運動会などで行われるリレーのような感じですね。本編というトラックがあって、バトンが一周して別の走者に受け渡される、何周もしてようやく最後に到達するようなイメージです。

また、「ラッシュライフ」というタイトルは、実は並行するそれぞれのストーリーに対して、別々の意味を持たせていたりします。日本語では「ラッシュ」と言いますが、これが英語だと「lash」「lush「rash」「rush」の4つの単語が当てはまります。それぞれ別の意味の単語なんですが、最後まで読んでみるとこれがきれいにストーリーの内容を表すわけです。なかなか考えましたね?。冒頭にちょっとした注釈のように書かれているんですが、これらがどうストーリーを示しているかはぜひ本編を読んでみてほしいところです。

正直なところ、初めのうちはそれぞれのストーリーがどうつながるかが全くわからなかったのでちょっと読みにくかったんですが、最後まで来るときれいにまとまっていて、希望が持てるストーリーになっていました。世の中、あんなふうに幸運をつかみとれる人はなかなかいないですよね。



小説「時計館の殺人」

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後輩の紹介で読んでみた本の1つが、今回紹介する「時計館の殺人」です。綾辻行人氏が1995年に著した作品で、時計だらけの館を舞台とした新本格派ミステリーです。

この作品で舞台となる時計館には、108個の時計が置かれています。このような、ちょっと異常な状況の中で交霊を行おうとしたメンバーが次々に殺されていくシーンは、なかなか壮絶です。かなり立て続けに行われる殺人を前にした生存者たちは、とても正常な感覚ではいられないのではないでしょうか。

後半になってくると、徐々に殺人のからくりが明かされていくわけですが、最も犯人であるだろうと思われていた人が自殺した時はいったいどうなることやらと。自殺して殺人事件が解決してしまったら、なんというか、よく昼ドラとかでやっているような、なんとか殺人事件みたいなのと同じではないかと思ってしまいました。でも、それで終わるはずもなく、いい具合のどんでん返しが待っているわけです。最後の最後で明かされる殺人のからくりは、かなり奇抜で予想外です。もし、このからくりが想像できる人がいたら、その人は天才だと思いますね。

とても長い作品なので、読むのに時間はかかりますが、登場人物のキャラクタもそれなりにしっかりしているので分かりやすい作品だと思います。僕自身は、綾辻行人の作品をあまり読んだことがないですが、これなら他の作品でもいけそうな気がしました。



書籍「プロフェッショナル 仕事の流儀(5)」

研究室に就活関係の本がおいてあったので読んでみました。実はこの本は、僕が少し前に読んだ「目からウロコの脳科学」の著者でもある茂木健一郎氏が出てきてました。なかなかタイムリーなタイミングで彼のことを知ったものです。

[blog] 茂木健一郎 クオリア日記

内容は、普通のサラリーマンとはちょっと違う職業の方の、仕事に対する取り組み方をインタビュー形式で紹介していくというもの。テレビの内容をそのまま本に落としたという感じで、一般的な書籍と比べると少し変わった書き方をされていると言えます。だからといって読みにくいというわけではなく、よくまとまっていて分かりやすい内容でした。

この本では、ベンチャー企業の社長さん、テストドライバーさん、ライティングデザイナー(lighting designer)さんの3人のことが紹介されています。体験談などは、普通の生活ではまず起こらないことが書かれていたりするので、なかなか楽しく読めます。ライディングデザイナーさんの例では、平等院鳳凰堂をライトアップしたときのことが書かれていました。ライトアップされた瞬間は、彼自身も予想できないほどにきれいだったらしく、とても感動したとのこと。確かにあの建物が幻想的に浮かび上がった状況を想像してみると、昼間の姿とはまた違った一面を見せてくれそうですね。そんな仕事をしていて感動したことなどが他にもいろいろと紹介されています。

3人のまったく違う生き方から学ぶべきものはとても多いと思います。僕と同じくこれから就活される方や、ちょっと変わった生き方を知りたいといった方などにとっては役に立つのではないでしょうか。



書籍「考える技術」

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就活の時に読んでみて下さいと推薦された書籍に、大前研一氏が執筆した「考える技術」という本があります。この本には、目前の問題に対してどのようなアプローチをかけるべきかということが事細かに書かれています。彼自身の経験に基づく、解決への論理的思考がいかに大切かを強く強調されています。

詳しい内容は実際に読んでみてもらった方がいいと思いますが、企業の経営的立場からすればこの本は役に立つと思います。これからの経営方針などを決定する時は、さも直観的な判断に委ねられがちですが、そうではなく今の状態を直視し、論理的思考を行うことで合理的な判断が下せるということらしいです。このあたりの内容は非常に興味深く読ませてもらいました。

ですが、この本自体の内容が濃いかというと少し疑問です。彼自身の経験がいかに素晴らしいかということはよく分かるのですが、その内容が自分の目前にある問題に対して適用する時に何が重要であるかを考えてみると、「論理的思考を日常的に行うように頑張ること」の1つの集約できてしまうような気がします。言ってしまえば、「論理的思考を日常的に行う」ことで「こんな問題が解決できる」という事例集なだけではないのでしょうか。考える技術をどんな人にでも分かりやすく伝えようとした結果、文章の量の割には中身のないものになってしまったように感じます。

また、僕自身は彼の考え方に賛同できない部分もあります。彼はこの著作の中で、「今の経済はこれまでとは違う。ケインズ経済学が適用できるような時代とは全く違うのだ。」という趣旨の内容を書いていますが、全くと言いきれる根拠が何なのかをぜひ教えてほしいです。確かに現実の経済と、学問で取り扱う経済とは幾分かの違いが見られるのは仕方のないことだと思うのですが、完全に違うとなると話は別です。その根拠となる統計的なデータはあるのでしょうか。また、どうしてそういう結論に至ったのでしょうか。新しい経済になったというのは簡単ですが、そのあたりの説明がないのは非常に疑問です。

「ダメな議論」という本を読んでからこの本を読むと、とても違和感を感じます。これだけ、内容が違う本が世の中に存在するのも、世界の多様性というかなんというか。。。ちょっと呆れます。

僕は成功事例の自慢を聞きたいのではないのです。また、僕は政府に対する愚痴を聞きたいのではないのです。こういった内容のことなら、他の本でも得られるんじゃないでしょうか。

[web] 考える技術 - 楽天ブックス

書籍「学歴無用論」

就活の一環で、故盛田昭夫氏の著作である「学歴無用論」を読んでみました。盛田さんはソニーの創業者の一人で、ものすごく苦しい資金繰りの中でソニーを大企業へと育てていった立役者の1人です。こういうエピソードを聞くと、かなりのチャレンジ精神に満ちあふれてたんだなって感じます。

この本では、まだ日本では重く見られている学歴がもたらす弊害を、アメリカの雇用制度などと対比することで明確にしています。アメリカ社会と日本社会との雇用状況の差に愕然として、これではダメだ、変えていかないといけない!といった論調です。このあたりの考え方は、「若者はなぜ3年で辞めるのか」で出てくる考え方に似ています。わりと、このあたりは共感できる部分です。

ですが、さすが20年前(バブル崩壊前)に書かれた本ということで、かなり時代錯誤な内容があることも否定できません。考え方自体は今も通用しますが、時事的なことではちょっとそれはなと考えてしまうところもあるので、そのあたりは適宜かみくだいていけばいいと思います。

あと、ソニーの成り立ちなども書かれているので、ソニーにとても興味がある方は読んでみるといいかと思いました。

[web] 学歴無用論 - 楽天ブックス

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