小説「パイロットフィッシュ」

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ふと本屋さんに寄ったときに買ってみた小説です。大崎善生が2001年に著した作品で、人が過去に抱いた感情は時を経ても変わらないことをストーリーの軸にしています。

このストーリーで出てくるのは、アダルト雑誌編集者の山崎と、その山崎と昔付き合っていた由希子です。その二人の稀有な出会いから、今の生活に至るまでの複雑な過程が書かれています。ストーリーは由希子が山崎に久しぶりに会いたいと連絡してきたところから始まります。由希子は結婚していて、子供もいるのにどうして今?と疑問に思う山崎なのですが、そこは断らずに会うことになります。

そこからどうして2人が出会ったのか、どうして付き合うことになり、そして別れることになったのかが明かされていくことになります。この過去の出来事もなかなかすごいのですが、それだけではなく19年も立ってお互いの環境もだいぶ変わったのに、重要なことだけは変わらずに彼らを取り巻いていること。やっぱりスウェーデンのロックバンドの話とかは印象的ですね。そのバンドは男2人、女2人で仲良くやっていたんだけど、女の子の1人がもう一人の女の子の彼と一緒に寝てしまって。彼をとられてしまった女の子は心の底から苦しかったんだけど、その思いが歌になってさらに多くの人に支持されることになって…。多くの人に支持されることになった女の子か、男に愛されることになった女の子のどちらが幸せなんだろうっていう問いかけはとても考えさせられます。

自分自身が大学生ということもあって、このストーリーにはすごく共感させられました。山崎の生活は今の自分にはできないことばかりでちょっと憧れるし、こんな感じの恋愛もしてみたいかも?しれないです。でも、彼氏を取られてしまった女の子のように、自分ではどうしようもないところで別れがやってきたりするのはつらすぎます。由希子も子供もいて本当なら幸せに過ごしていてもおかしくないのに、実際はそうじゃない。これもかわいそうです。過去から今まで続く因縁ともいうべき出来事は、これからも由希子を苦しめることになるんでしょうか。

人は一度出会ったらもう別れることはできない。記憶という深い湖にその人のことは沈んでいて、消えることはないから。とても印象的な小説だと思いました。

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出演情報 スタソンマニア Vol.1『パイロットフィッシュ』

今回初参加となります。スタンダードソングエンタテイメントとして既に 活躍しているユニットの新企画第1弾に参加が決まりました! 「パイロット... 続きを読む

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