小説「ラッシュライフ」

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伊坂幸太郎氏の作品もそろそろ半分ほど読み終えて、彼の作品の共通点みたいなものがようやくつかめてきた気がします。今回読んでみた「ラッシュライフ」も、これまで読んできた作品とどこか似た雰囲気があって、とても親近感がわいてきます。

伊坂幸太郎氏の作品では、複数のストーリーが同時進行して最後に解決することが多いのですが、この「ラッシュライフ」では、それぞれのストーリーの時間がかなりずれて始まります。つまり、あるストーリーの最後と別のストーリーの始まりが本当はつながっているんですが、書かれている場所は本編の最初と最後というように、最後になってようやくストーリーの全体像が分かるという仕組みになっています。そんなわけで、初めのうちは全く別々のストーリーが書かれているかのように見えますが、最後の最後でうまく完結します。まるで、運動会などで行われるリレーのような感じですね。本編というトラックがあって、バトンが一周して別の走者に受け渡される、何周もしてようやく最後に到達するようなイメージです。

また、「ラッシュライフ」というタイトルは、実は並行するそれぞれのストーリーに対して、別々の意味を持たせていたりします。日本語では「ラッシュ」と言いますが、これが英語だと「lash」「lush「rash」「rush」の4つの単語が当てはまります。それぞれ別の意味の単語なんですが、最後まで読んでみるとこれがきれいにストーリーの内容を表すわけです。なかなか考えましたね?。冒頭にちょっとした注釈のように書かれているんですが、これらがどうストーリーを示しているかはぜひ本編を読んでみてほしいところです。

正直なところ、初めのうちはそれぞれのストーリーがどうつながるかが全くわからなかったのでちょっと読みにくかったんですが、最後まで来るときれいにまとまっていて、希望が持てるストーリーになっていました。世の中、あんなふうに幸運をつかみとれる人はなかなかいないですよね。



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