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後輩さんがめっちゃ面白かった!と言って、「言いまつがい」という本を貸してくれました(´∇`) これはその名の通り、言い間違いや勘違いなんかで恥ずかしい思いをした体験談みたいなのがたくさん載ってます。きっとこれがあれば、笑いに乏しいな?と思った時でもすぐにププッって笑えるはずw とても面白い本です。
[web] ほぼ日刊イトイ新聞 - 「言いまつがい」
もうこれは読んで笑ってくれ!としか言いようがありませんw
いろいろな言いまつがいが書かれていて、クスクスと笑ってしまうこと間違いなし。
僕自身も本編の前の、まえがきの部分ですでに受けてましたヽ(´ー`)ノ
この本をもっと面白く読むためには、ちょっとお酒を飲んで酔った状態で、
口に出して言ってみましょう。間違いなく突っ込みたくなります!
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東京に行っている間にかなり時間ができてしまっていたので、この「終末のフール」という短編集をちょこちょこ読んでいました。この終末のフールは伊坂幸太郎が著した作品で、世界の終末まであと3年になった世界でのちょっと心の温まるお話を集めたものです。世界の終末といっても、アルマゲドンのようにぶつかる寸前まで書かれているわけではなくて、衝突の3年前の話がメインになっています。
[wiki] 伊坂幸太郎 - Wikipedia
[web] 伊坂幸太郎「終末のフール」インタビュー - s.woman.net
[blog] 終末のフール - eno blog
それぞれの短編のタイトルがみんな似てて、そこも面白いんですが、なんでそんなタイトルになってるのかが分かったときはもっと面白いですね。「天体のヨール」とか、けっこう強引w 初め、ヨールってなんだろ?って思っていたら、そういうことだったのか!みたいな感じです。その強引さというのか、発想の転換があるあたりが好きなんですけどね。
では、順番に感想を。
- 「終末のフール」
定年を過ぎた夫婦と頭のいい娘にまつわるお話です。なんといっても静江(母親)のユーモラスな嘘を真に受けそうになる私(父親)のリアクションが面白いですw こういったほのぼのとしたやり取りは憧れますね。今は亡き息子が武装(?)して甲子園に行こうとするあたりもなかなか楽しいヽ(´ー`)ノ
-「太陽のシール」
優柔不断な僕、富士夫と、代わりになんでも決めてくれた美咲の夫婦が、終末にも関わらず子供ができて、産むべきか悩むというお話です。優柔不断な僕が友人に相談したり、過去を振り返ったりして最終的にはどうするかを決めるシーンはかなり感動的ですゝ(^O^)丿 その決断に至るまでの過程もそれほど深刻じゃなくて進んでいくのも良い感じ。
-「籠城のビール」
自分の身内を報道関係者に間接的に殺されたことで、最期になる前に復讐を遂げたい2人が、アナウンサーの杉田の家に押しかけるというお話です。このお話は、途中で予想外の展開を見せます。どうなるかは置いておいて、最後は意外にも清々しい雰囲気で締めくくられています。こんな感じで終わるストーリーが伊坂幸太郎には多くて、僕が好きな理由のひとつです。
-「冬眠のガール」
ちょっと変わった感性を持つ美智が、自分の彼氏を見つけに知り合いを訪ねて歩くというお話です。美智の知り合いには個性の強い人が多いみたいで、なんだか笑えてきます。最後の展開も、そんなのアリなんや!と思わせてくれるでしょうw
-「鋼鉄のウール」
キックボクシングを再び練習し始めたぼくが、人の変わってしまった父親に立ち向かうというお話です。格闘技は喧嘩に使ってはいけないっていう話はよく言われていますが、そんな誓いを守りつつ立ち向かっていく姿はかっこいいですね(^-^)b ぼくの目標にもなっている苗場さんの生き方もとっても男らしい!
-「天体のヨール」
天体マニアの二ノ宮と、そんな彼に付き合ってやってる矢部とのやりとりを書いたお話です。二ノ宮は隕石が降ってくるこんなご時世でも全然ひるんでなくて、むしろ楽しんでる雰囲気さえあるのがちょっとすごい気がします。天体が大好きな人はみんなそう感じるものなんでしょうかw
-「演劇のオール」
演劇にはまっていた私が、いろんな人の家族のように振舞って、最後はえらいことになるっていうお話です。途中はわりと深刻だったりするんですが、結末はなんでそうなるん!と突っ込まずにはいられないですねw 演劇でも最後は役者が一列に並んでおじぎをするように、小説でもそういう試みをしてみたってことなんんでしょうか。
-「深海のポール」
隕石が振ってきたら津波が起きるという話を信じて、ひたすら櫓を建て続ける祖父とその息子家族とのお話です。ちょっと面白かったのが、未来という娘が、ゴキブリが隕石に向かって飛んでいくのを見たい!っていうあたりw 想像したらめっちゃ面白いかもΨ(`∀´)Ψ それに冷静に答える祖父もツボです。子供がしゃべる台詞ってとっても意外性にあふれていたりするんで、それだけで楽しめます。
と、だいぶ長くなってしまったので、このへんで。
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本屋さんに寄ってみたら、やたらとたくさん並んでいたのでササッと流し読みしてみました。わりと当たり前のことが書かれているわけなんですが、こんな形で明示的にされていると本当に人生に勝てるかもしれませんねヽ(´ー`)ノ
[web] 「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55 - Amazon
この本のいいところは、かなり(というか非常に)読みやすく出来ているところです。忙しい社会人のために、章の一番後ろにまとめが書かれているので、本当に肝のところだけ知りたい!という人でもそこだけ読めばほぼ内容がつかめるようになっています。
また、イラストも多めに書かれているのでかなり理解しやすいと思います。買うほどのものかどうかはちょっと見てもらうとして、サラッと見てみるだけでも意味のある書籍だと思いました。
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- 三浦綾子, 氷点
三浦綾子の著した氷点を上下巻とも読んでみました。最後まで読んでみると、これは当時ブームになる理由がわかる気がしました。必ずしも明るい話というわけでも、まして笑えるストーリーというわけでもないんですが、伝えようとする内容はかなり深いように感じました。
[blog] 氷点(上) - LostMemories
下巻では、陽子が成長して17才になるところまで書かれています。事あるたびに陽子の幸せを壊そうとする夏枝、それに対して昔の殺人の記憶もそろそろ薄れて陽子を許そうと考え始めた啓造、また陽子の出生の秘密を知ってひたすら彼女の幸せを大切にしようと考えた徹。それぞれ思いを抱いた辻口一家は、陽子に想いを寄せる北原の登場によって、また混迷を深めていきます。
下巻でも様々なエピソードが描かれているわけなんですが、最後の陽子の心境の変わり方は劇的で驚かされます。また、啓造が何度か考えていたように、心の支えを失ってしまった時自殺するのは正解か?といった問いや、実の娘のようにして育ててきた陽子を女性として見てしまうのは罪だろうか?と考える心境はなんだかわかる気がします。もちろん僕自身はまだ自分の子供がいるわけでもないんですが、もし同じような状況に置かれたとしたらかなり思い悩むんじゃないかなって思います。
それにしても、最後の方で現れる高木と啓造との関係はリアルに現実を表しているようでやや凹みます。お互いに信頼し合っている仲でさえも完全には理解しあうことはできず、この悲劇の元凶を生み出してしまっていたわけで、本当なら何も罪はないはずの陽子を苦しめる結果になってしまったし。もう少しなんとかならなかったのかな?って。
世間では、わりとお互いの誤解の上に成り立っているのかもしれないですが、誤解のない世界があったらどうなるんだろうと思わずにはいられない作品でした。続編もあるらしいので、また機会があれば読んでみたいと思っています。
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研究室の先輩に「何かおすすめの本ないですか?」と訊いてみたら、「ナチスの発明」という本を貸してもらえました。明らかにいわくありげな雰囲気をかもし出しているんですが、中身はわりとまとも?かもしれません。
とはいえ、どちらかといえばこの本は、ナチスが発明したものを紹介する本というよりも、ナチスが台頭していた時代に発明されたものを紹介する本というのが正しいのではないでしょうか。確かに著者のいう通り、発明品にナチスの援助が関わっていたのかもしれませんが、やや根拠に欠けるような気がします。もうちょっと他の国と比較するとか、具体的なデータで示してほしかったです。
後半ではナチスの活動などを取り上げていたりしますが、むしろこちらの方が興味深かったですね。高校の世界史では、このあたりまでは詳しく習わなかったので、主観的な評価を除けば意味のある資料になりそうです。
ともかく、ナチスについての興味は深まったので、それなりに意味のある書籍だとは思いました。でも、いろんな意味で残念な本だと思いました。
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ちょっと前に友達が「大人力検定」という本をくれたので読んでみました。この本は、社会で大人として取るべき行動を3択 or 4択の選択肢から選ぶことで、自分がどれだけ「大人」なのか=大人力を持っているのかを確かめることができます。解答やイラストがとてもユニークで面白いですね。
友達がめっちゃハマってたのが、「訪問先で相手が『バタバタしていまして…』と言った時の真意は?」というもの。イラストのバタバタ具合がかなりおかしくて大爆笑してしまいましたw 解答の書かれ方もなかなかのツッコミ具合で、すごく親しみやすいですねゝ(^O^)丿
そんなわけで、大人力をつけるための本としても、またネタ本としても役に立つ本だと思われます。選択肢がはずれたとしてもイライラしなければ、全然楽しめるはずです。
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乙一の短編小説を集めた「失はれる物語」を読んでみました。この本に収められている作品はどれも、何かを失ってしまい沈んでしまっている中に希望を見出すというようなものが多いように思います。また、どの短編もすごく読みやすくて、前提になる知識もいらないので、どんな人にとっても簡単に読める作品集だと思いました。最近泣いてないな?という人には特にお勧めです。
[wiki] 乙一 - Wikipedia
この短編集には、標題の「失はれる物語」のほか、「Calling You」、「傷」、「手を握る泥棒の物語」、「しあわせは子猫のかたち」、「ボクの賢いパンツくん」、「マリアの指」、「ウソカノ」の7作品が収められています。比較的長めの作品から、こんなに短くていいの!と思えるものまでバリエーションに富んでいるのですが、CDのアルバムみたいな感じで、順番にもこだわりがありそうな気がしました。そんなわけで、順番に感想を書いてみます。
- 「Calling You」
1番始めの作品は、淡いラブストーリーと思春期の不安定さを描いたストーリーになっています。高校生になって唯一携帯電話を持っていない「わたし」は、ある時自分の頭の中に誰かとつながる携帯電話があることに気付きます。その携帯から突如掛かってきた電話。シンヤという男の子とつながったわたし、そしてもう1人の人物から不思議な物語は始まります。この物語は、読み切ってしまえばなんだかどこかでありそうかな?とは思うんですが、かなりきれいな展開には感動せずにはいられません。まったく、つかみにはもってこいの作品ですねw
- 「失はれる物語」
表題にもなっているこの物語は、交通事故で腕にしか感覚がなくなってしまった男が、元音楽教師だった妻からのメッセージをピアノの演奏として伝えるというものです。2人は昔は仲が良かったものの、子供ができて数年経ったあたりからケンカが増え始めてしまいます。そんな中、男を襲った交通事故によって妻は日々の生活をピアノの演奏と腕に書く文字によって必死に伝えていきます…。
この物語も、最後はなんだか救われないような気がします。動けない男は必死に介護する妻に何もしてあげることもできず、ただメッセージを受け取るだけ…。必死に頑張る妻の苦悩も伝わってきて、かなりやるせないです。しかし、男ができる唯一の行いを最後にはできたのかな?とも思いました。
- 「傷」
この短編をくるりのライブ前に読んでしまって、すごい悲しい気分のまま臨んだ記憶がありますw このストーリーもとても胸が痛くなりますね。このストーリーを簡単にいうと、相手の傷を自分に移したりできる特殊な能力を持ったアサトが、心に傷を負ったオレと出会って、いろんな人の傷を自分の体に引き受けて心も体もズタズタになりながらも、なんとか立ち直っていくというもの。
ちょうどこの小説を読む前日に考えさせられる体験があったんですよ。すごく強く生きてるんだけど自分ではどうしようもない病気の子と話して、これだけ自分はのうのうと生きてていいのかって。一応、自分は入院も手術もしたことないけど、これだけ強く生きてる子がいるなら、その子の傷を引き受けられたらどれだけいいだろうかって本気で思ってました。そんなに軽々しく言うべきではないのかもしれないですが、その子にはぜひ幸せになってほしいですね。
- 「手を握る泥棒の物語」
このストーリーはわりと救いがあります。というか、泥棒は間抜けすぎます(´∇`) 内容は、事業に行き詰ってお金が必要になった俺が、お金持ちの伯母の泊まっている旅館に泥棒しに行くっていう話。そして、泥棒に行った先でへまをして捕まりかけるのが笑えます。これまでの話と違って、それほど重たくなることもないので、このあたりで一息といった感じ。
- 「しあわせは子猫のかたち」
このストーリーは推理小説のような構成になっています。以前に殺人のあった部屋に引っ越してきた僕は、前の持ち主の幽霊?と一緒に生活することになります。いつの間にか開くカーテン、どこからともなく出てくるコーヒー、怪文書のような謎の文書?ちょっとおちゃめな幽霊がどうしてまだこの世界に残っているのか、それが徐々に解き明かされていきます。
推理小説っぽいんですが、新本格派のミステリーとはちょっと違っていて、真面目に解くのはちょっと難しいです。それよりも、幽霊の心境とかそういったところに着目した方が面白そうかも。
- 「ボクの賢いパンツくん」
これはとっても短いです。たぶん、「ふっ」と笑って次にいける作品ではないでしょうか。ちょっとしたネタだと思ってさらっと読んでしまいましょう。
- 「マリアの指」
これは普通にミステリー短編と言っても大丈夫ですよね?たぶんですけど。
不思議な雰囲気をもった鳴海マリアが、ある時電車にはねられて亡くなってしまいました。警察はこれを自殺だと判断したのですが、僕はどうしてもそうは思えなくて現場を探し始めます。そんな中見つけた1本の指。どうして指が落ちていたのか?そしてマリアの事件の真相は?っていう雰囲気のお話です。
いろんなところに謎を解くヒントが落ちているので、初めからちゃんと覚えていればきっと事件の真相がわかると思われます。僕はあんまりそういうのを真面目に解かないんで流してしまいましたがw
- 「ウソカノ」(あとがき)
アンコールにあたる作品です。
自分の妄想の中で生まれた彼女を理解するためにいろいろ努力をしていくというストーリーです。わりと短めながら、温かみのある作品じゃないでしょうか。妄想の中の彼女が最後まで応援してくれる姿は、あくまで想像とはいえ、なかなか勇気づけられます。
長々と書いてしまいましたが、だいたいこんな感じです。どれもやっぱり沈んだ場所があって、底抜けに明るいというわけではないのですが、軽いながらも感動できる良作ではないかな?と思います。
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- 三浦綾子, 氷点
ひさしく本が読めてなかったんですが、ちょっとした時間に読んでいってやっと読み切りました。三浦綾子が著した小説「氷点」。彼女の故郷が小説の舞台となる作品で、娘を殺された夫婦が、その犯人の娘を引き取ったことから始まるさまざまな出来事と人間の内面を描いています。
医者である辻口啓造とその妻、夏江は、ある時まではとても仲の良い夫婦でした。しかし、この関係も娘のルリ子が殺されてしまった時から一変してしまいます。本来はずっと夏江が見守ってやらないといけないはずだったのが、あることがきっかけで1人にしてしまったのが原因だったのです。
その後、犯人は自殺をしてしまい、怒りのやり場を失った夏江は、どうしても女の子がほしいと懇願します。しかし啓造は、夏江がルリ子を1人にしたのは浮気をしていたからだと思い、彼女への復讐のために犯人の子供を引き取ることにします。これが後々の辻口家族の大きな混乱のもとになっていきます...。
上巻と下巻とに分かれているので、まだどうなっていくかは分らないんですが、かなり丁寧に書かれていて、彼らがどんな感情を抱いたのかがすごくわかりやすいですね。逆にいえば、細かく書きすぎて想像の余地もないという気もしなくはないですが、丁寧に書かれていなかったらなかなか想像しにくいとも思います。
まだ三浦綾子の作品は全然読んだことがないので、かなり新鮮です。戦後どういう状況だったのかとか、お医者さんという立場がどういう風に見られていたのかとか。実際に使われていたかはともかくとして、医学的な用語(ドイツ語)もちょこちょこ出てきたりして興味深いですね。
同じようなお医者さんの話として、白い巨塔は有名ですが、この作品よりは時代の違いを感じずに読めるので、下巻でどんな展開になるのか楽しみです。
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綾辻行人のデビュー作である小説「十角館の殺人」を読んでみました。これまで館シリーズはいくつか読んできましたが、その原点になる小説とあって、シリーズのバックグラウンドとなる設定がかなり書かれていました。これまで疑問に思っていた警察のツテがなんだったか、やっと分かりましたw
この作品は、ミステリーの中でも、いわゆる「孤島もの」という分類になるらしいです。ストーリーは、九州から少し離れた離島で、有名なミステリー作家の名前をニックネームにした学生たちが合宿を行うところから始まります。彼らはこの島で過ごす数日間を、ミステリー小説を執筆しつつ楽しむつもりでした。しかし、突如として始まる連続殺人に彼らは翻弄されていきます。
そもそも彼らはどうしてこの離島で合宿をすることになったのか。舞台となる十角館は、建物を上から見ると十角形になることからつけられました。この建物の元持ち主であり、設計者であった中村青司はちょっと変わっていて、建物に隠し通路などを作っていたということらしいのです。それを知った彼らは、犯人は外部の人間ではないかと疑い始めます。ですが、そうこうしている間に次々と仲間は殺されていき、最後に残った人間が館に火を放つのですが…!?
最後になって分かる犯人は、なかなかすごいです。まさかそこまで?と思うような行動をしていて、とても驚かされます。また、十角館での出来事と、陸地側での出来事が交互に書かれているので、犯人からの殺人のプレッシャーだけでなく、犯行の背景となる動機についても徐々に解き明かされていくのがよいですね。緊張と弛緩(?)が交互にあるので、それほど疲れることもなく読めました。
初期に書かれた作品なので、雰囲気もかわってるのかな?と思ってたんですがそういうわけでもなく、一貫したスタイルで書かれていました。さすがにシリーズになるだけはありますね?。
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夏休みということで、読書感想文向けの文庫本がたくさん本屋さんに並ぶ季節になりました。普段よく読むような伊坂幸太郎や東野圭吾の小説でももちろん構わないんですが、たまには変わったものも読んでみよう!ということで、手にとったがこの小説「老人と海」。ヘミングウェイが著わした小説です。キューバの海で漁師をやっている老人が、大物を引き当てるものの最後までそれを守りきれず港に戻ってくるのですが、その代わりにそれ以上のものを手に入れるというお話です。
このストーリーでは、「尋」という単位が何度も出てきます。これは身体尺の1つで、両手を広げたくらいの長さのことらしいです。SI(国際単位系)では、1.818mと定義されています。ただし「千尋(ちひろ)の海底」という使われ方をされた時は、1818mの海底ではなくて、とても深いという意味になります。
この「尋」という単位は、ファゾム(fathom:1.8288m)という英語圏の単位の訳語だと思われるんですが、原文を読んでないんで分かりません。でも、きっとそうですよね!これを念頭において本文を読んでみます。
老人は、昔はある少年と2人で釣りに出かけていたんですが、今ではすっかり1人で釣りに行くようになっていました。少年は老人と釣りをしたかったものの、親からの言いつけで単独で行くことになったのです。ある日、老人が海に出て行くと1500ポンド(約680kg)にもなるような大きな魚を引き当てます。ここから魚と老人との長い長い戦いが始まります。広い海の上で、老人は孤独を紛らわすために小さな鳥や海に向かって話しかけます。「あの子がいてくれたらなあ」とぼやきながらも、懸命に戦います。
このストーリーでは、結局大きな魚を港へは持っていくことができなかったものの、老人の戦いっぷりはすごいです。なかなかこうも1人でずっと戦い続けるというのはできないことだと思います。いくら追い払っても近寄ってくるサメ。体力が徐々に奪い取られていくなか、希望を失わずに立ち向かっていけたのはやはり経験?漁師としてのプライド?かなり考えさせられます。
翻訳された小説なので、やっぱり単位や現地の感覚が分かりにくいというのはあったんですが、短いなりに楽しめる作品でした。