綾辻行人のデビュー作である小説「十角館の殺人」を読んでみました。これまで館シリーズはいくつか読んできましたが、その原点になる小説とあって、シリーズのバックグラウンドとなる設定がかなり書かれていました。これまで疑問に思っていた警察のツテがなんだったか、やっと分かりましたw
この作品は、ミステリーの中でも、いわゆる「孤島もの」という分類になるらしいです。ストーリーは、九州から少し離れた離島で、有名なミステリー作家の名前をニックネームにした学生たちが合宿を行うところから始まります。彼らはこの島で過ごす数日間を、ミステリー小説を執筆しつつ楽しむつもりでした。しかし、突如として始まる連続殺人に彼らは翻弄されていきます。
そもそも彼らはどうしてこの離島で合宿をすることになったのか。舞台となる十角館は、建物を上から見ると十角形になることからつけられました。この建物の元持ち主であり、設計者であった中村青司はちょっと変わっていて、建物に隠し通路などを作っていたということらしいのです。それを知った彼らは、犯人は外部の人間ではないかと疑い始めます。ですが、そうこうしている間に次々と仲間は殺されていき、最後に残った人間が館に火を放つのですが…!?
最後になって分かる犯人は、なかなかすごいです。まさかそこまで?と思うような行動をしていて、とても驚かされます。また、十角館での出来事と、陸地側での出来事が交互に書かれているので、犯人からの殺人のプレッシャーだけでなく、犯行の背景となる動機についても徐々に解き明かされていくのがよいですね。緊張と弛緩(?)が交互にあるので、それほど疲れることもなく読めました。
初期に書かれた作品なので、雰囲気もかわってるのかな?と思ってたんですがそういうわけでもなく、一貫したスタイルで書かれていました。さすがにシリーズになるだけはありますね?。
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