小説「ゆるい眠り」

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本屋さんの入口に平積みされていて読んでみたのがこの「ゆるい眠り」。江國香織の短編集で、淡い恋愛体験を題材にした作品が収められています。

タイトルにある「ゆるい眠り」というお話は、結婚している耕介と不倫関係にある「私」が別れてから立ち直るまでのストーリーです。「私」は、耕介のところに新聞配達をしていた高校生とその弟に慰められ、癒されながら、どれだけ耕介が大切な存在だったかを知ることになります。耕介の妻に嫉妬し、眠れない日を過ごす彼女の姿はかなり切ないです。最後はぜひ報われてほしいと思わずにはいられなかったですね。イタズラ電話を通して、耕介と無言の会話をするシーンは、本当に切なくなってきます。

他にもさまざまな作品がありますが、僕の中で印象的だったのは「災難の顛末」というお話。さっき紹介した「ゆるい眠り」は、最後はきれいな形で終わっていますが、この作品はちょっと後味が悪いです。ストーリーのあらすじとしては、結婚直前とまで言われた今日子が飼い猫からノミをもらってしまい、だんだんと壊れていくというものです。最後まで読むと、今日子自身の本当の姿が見えてきてしまってすごく悲しくなります。誰かに愛されている自分自身が好きっていうのが分かるシーンを見ると、やはり落胆してしまいますね。できればこんな感じで終わりにはなりたくないですね。

本当に数ページで終わってしまう作品もあったりして、「あれっ」と思うかもしれませんが、たまにはこんな感じのさらっと読める本を読むのも全然悪くないですね。いろんな形の恋愛があって、けっこう楽しめる本だと思います。

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