綾辻行人の館シリーズの6作目に当たる小説「黒猫館の殺人」を読んでみました。この作品で、館シリーズは3つ読んだことになります(「時計館の殺人」「人形館の殺人」)。今回のこの作品は札幌・釧路などの北海道が舞台となります。
なぜ黒猫館と呼ばれるかというと、館の屋根のところに風見鶏ならぬ風見猫がついているからだとか、館全体が黒くて形が猫のようだからとか、いろいろな考え方があるようです。そんなちょっと変わった黒猫館で、いつものごとく殺人が起こります。館を宿代わりにしようとやってきた若者達と、道中で声をかけた女性が夜に遊んでいて、気がついたら女性の方が死んでしまったのです。館を管理する鮎田冬馬と若者達は、これではまずいと思い、地下に死体を隠すことにします。しかし、これだけでは終らず第2の殺人が起こることになるわけなのですが...。
今回のお話も、鮎田の手記を読み進めていくうちに作家の島田潔が謎を解いていくという構成です。最後ではなぜ黒猫館が作られたのか、建物自身の謎も解き明かされていくことになります。むしろ個人的には、殺人のトリックよりもこちらのほうのどんでん返しの方が意外性があって面白かったですね。鮎田の手記には、いろいろな不自然な点が隠されていて、それを読み解くことで黒猫館の謎が分かるようになっています。地図とあわせて考えると意外とすんなり分かるかも?
最後の館の謎はともかく、全体的には手記を追っかけていくだけなので、すごく読みやすい作品でした。今度はもっと初期に作られた館シリーズを読んでみたいと思います。
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