お正月に買って以来、かなりの間放置していたんですが、せっかくの旅行中にとれた時間で全部読んでみました。この本は、綾辻行人さんが他の人にぜひ勧めたいと思っている本格派の推理小説を集めたもので、綾辻行人さん自身が著わしたわけではないのですが、どの作品もかなり予想外な展開をしていて面白いです。
この短編集では、5つの分類で9の小説が紹介されています。その分類は、ミステリーを推理していく上で重要な、どのあたりが謎なのかといった視点+αです。「Who?」「How?」「Why?」「What?」「Challenge!」といった章立てで、どの作品も一筋縄でいかないものばかりです。
どれも特徴的ですばらしかったのですが、1つだけ選ぶとするなら「達也が笑う」という小説が一番印象的でした。この小説は、最後の解答編を読むまではきっと明快な答えが分からないと思います。綾辻氏の前ふりで、「答えは信じられないほどあからさまに、読者の鼻先に突きつけられているのですが―。」と書かれていますが、まさにしてやったりという感じで、見事にやられました。この逆転の印象は、「人形館の殺人」を読んだときの印象にとてもよく似ています。これはぜひ読んでみてほしい作品です。
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