このタイトルはきっと聞いたことがあると思います。太宰治の代表作のひとつ、「人間失格」を読んでみました。実は、太宰治の作品は教科書で読んだくらいしかないのですが、これまで読んだ作品とはかなり毛並みが違います。
この物語は、ある人物が3枚の写真のことを振り返るところから始まります。その写真には同じ人物が写されているのですが、今まで見たことがないような嫌な印象を与える笑みを浮かべていて、顔に特徴がなく、不気味な雰囲気に包まれていました。そんな人物が記した手記には、彼の過ごした生涯が書かれていました。他人を欺き、さまざまな過ちを犯した彼は、自分自身を「人間失格」だと言います。しかし、彼を思い起こす女性は「神様みたいないい子でした」とも・・・。太宰自身の人生も色濃く投影されている作品です。
読んでみた感想ですが、ここで描かれている人物は、人間の生活での矛盾点を的確についているように思えます。わりと淡々と書かれていて、ふむふむ、と思いながら読んでいたわけなんですが、かなり句点が少なかったので違和感を覚えました。でも、ストーリーの最後はどうなってしまうんだろう、と期待しながら読めたので、個人的にはすごく良かったです。鍵をかけられるシーンなどは、身近でガシャーンと重々しく鳴り響く音が聞こえたような気がして、一瞬周りを見回したりもしつつ・・・。
かなり有名な本なので、とても簡単に入手できると思います。新潮文庫のを買ったんですが、あまりに安かったので驚愕。これなら、もっと早くに読んでおけばよかったと思いました。
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