書籍 一覧

小説「ヴェニスの商人」

自分の単純な気まぐれで、ちょっとこれまでとは毛並みの違う本を読んでみようとこの小説「ヴェニスの商人」を選んでみました。ヴェニスの商人といえば、シェイクスピアが著わしたことで有名です。シェイクスピアがハムレット、リア王、マクベス、オセロの四大悲劇を書いたことはあまりにも有名ですが、このヴェニスの商人は悲劇ではなく、喜劇として書かれています。
冒頭は、ヴェニス *4で貿易商を営んでいるアントニオが、友人バサーニオの頼みで高利貸しのユダヤ人シャイロックから自らの肉1ポンドを抵当として大金を借りてしまうところから始まります。

[wiki] ウィリアム・シェイクスピア - Wikipedia
[wiki] ヴェニスの商人 - Wikipedia

概要については上記のWikipediaに譲るとして、かなり驚きの展開が待っていました。
高利貸しシャイロックからお金を借りてしまったアントニオは、予想通りお金を返済することができすに肉を切り取られてしまいそうになります。で、ある事情からアントニオはその災難から逃れ、逆にシャイロックの方が全財産を剥ぎ取られるという憂き目に遭ってしまうのですが、この展開自体が、当時ユダヤ人がどのように思われていたかを示しているように思われました。

単純に、日頃善い行いをしている人が最後には救われて、悪いことをしている人には罰が下る構図なら、まあそれはそれでありかな?と思うわけなんですが、このヴェニスの商人ではあまりにもシャイロックへの罰が大きすぎるのではないかな?と思ったりするわけです。シャイロックから没収された財産がどこに渡っていくかも考えると、立場が違えば悲劇にもなりえるお話でした。

お話自体はとても短くて、200ページもない程度なのでさらっと読めると思います。ただ、登場人物が紛らわしいので、前半から誰が誰だかを把握して読まないと、きっと展開が分からなくなります。教養の足しとして読んでみるといいのではないでしょうか。

小説「三国志(二)」

7月末に読み終えた三国志(一)に引き続き、三国志(二)*5も読んでみました。
この本を読み終えるまでにすでに5冊ほど別の本を読んでますが、これは直列で読んでいたわけではなくて並列で回しながら読んだ結果、一番読むのに時間がかかるこの小説が最後になったとそういうわけです。

今思い出したんですが、前述の5冊以外にももう1冊読んでいたことを思い出しました。その名も、「本は10冊同時に読め!」という本。この本は正直、タイトルだけ読んで得るものがあればいいかなと思える本でした。要は、本をたくさん読むと情報がたくさん入ってくるので出世するよ、ってこと。買うほどでのないかな?って本です。


閑話休題。
三国志の2巻は、董卓が洛陽から遷都した後から始まっています。そして最後には、袁術が徐州の呂布に対して攻勢をかけ、呂布が劉備を部下として使いつつも追い詰められているシーンで終わります。

この2巻を読んでいて思うのが、呂布は危なっかしくて信頼されていないな?てことでした。呂布は目先の利益につられてコロッと裏切ってしまうので、誰も後ろを任せず、どこか距離感のある対応をされているのがある意味かわいそうでした。でも、これも彼自身の行動が引き起こした結果ということで、自業自得とも言えるんですけどね。

そんな彼が、今回はちょっと面白いやり取りを見せてくれます。袁術が劉備のいる地域に攻め込んだときに、うまく和睦させようとして、150歩ほどの距離の戟*6を射止めて両者を丸め込んだという話が書かれています。この時の呂布のたどたどしさはちょっと笑えました。

まだまだこの三国志は続編があるのですが、案外先は短そうに感じます。段々内容が密になっていくのでしょうか。

小説「小説イキガミ」

通勤時間の時間つぶしのために、近くの書店で拾ってみたのがこの小説イキガミ。
9月後半には映画化もされ、評判も気になる作品です。元々はマンガから出発した作品だったらしいのですが、反響の良さから、映画化、小説化という流れになったようです。

ちょっと今回は趣向を変えて、イキガミが現実世界にもたらされていたらどうなるかを真面目に考えてみます。
イキガミってなに?という方のために説明しておくと、イキガミ(逝紙)というのは政府から発行された死亡予告証のことです。小説の中では、小学校に入学した直後の児童がナノカプセルを体内に注射され、20才過ぎになった頃に0.1%の確率で破裂する仕掛けになっています。で、そのナノカプセルが破裂する時刻が書かれているのがイキガミ、という訳です。
さすがに勝手に殺されてはたまらないので、ナノカプセルの破裂で死亡した人の遺族には国繁遺族年金が支給されることになっています。


そこで疑問だった点が2つあります。
1つ目が、0.1%もの高確率で、ある世代の人間を殺す結果よりも、死ぬかもしれないという恐怖心による犯罪率の低下や生産性の向上の方が上回ることがあるのか、という点。
2つ目が、ナノカプセルの破裂による遺族年金のお金の出どころはどこなのか、という点です。


今の人口が1億2千人。全ての人間が90才まで生きると仮定すると、同じ年の人達は133万人いることになります。ナノカプセルによって死ぬ人は133万人の0.1%ということで、1330人になります。これは交通事故により亡くなる人達の1/5程度の規模です。お、意外に少ないかも?と思った人は若干詰めが甘いです。交通事故により亡くなる人は全年齢が対象になっているので、18才から24才までに限定した場合はもっと少ないはずです。

これにより、恐怖心をあおられて犯罪率が低くなるかと言われると甚だ疑問です。
確かに刑罰を厳しくすることで犯罪率は低くなるとは思うのですが、これは「犯罪を犯す」→「刑罰を受ける」という関係がはっきりとしているから。何もしていないのに突然刑罰(しかも死刑)を受けることになっても犯罪率が下がらないのではないでしょうか。同様の理由で、生産性が向上するとも思えません。

また、遺族年金は国のどこからかが払うことになるのですが、これはいわば税金から払うことになるわけです。仮にこの遺族年金が、亡くなった人が稼いだいたはずの金額をそのまま払っているとすると結構な額になります。1人当たり500万円×1年間の死亡者1330人×40年分= 2660億円を余分に支出することになります。他にもナノカプセルを管理するためのシステム管理費やら、ナノカプセルの開発費、イキガミ配達のための人件費などなど、高額な支出が押し寄せるはずです。予算の全体の割合としてはわずかかもしれませんが、メリットもあまりないのにお金をかけるのもどうなんでしょうね。

そんなわけで、イキガミが現実にあったとしても、すごい勢いで廃止の方向に向かうのではないかとどうでもいい推測してみました。
ちなみに小説自体はいいお話も多くて、学ぶこともたくさんあります。短編なのでさらっと読める点もお勧めです。

読んだ本リスト

通勤の時間がかなり多くあるので、その間にたくさん本を読んでいます。
普段なら感想を書くところなんですが、まずは紹介だけ。

- 小説イキガミ / 百瀬しのぶ
- ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学 / 岡嶋 裕史
- これだけは知っておきたい「ビジネスマナー」の基本と常識 / 若林 郁代

「ウチのシステムはなぜ使えない」はこの業界で働く人にとっては耳の痛い話がずらり!かなり誇張されているので、本当かよ!といいたくなる部分もたくさんあります。とはいえ、なんだかんだ言いつつ的を得ている部分もあるので、もしSE or SIerにシステムを作ってくださいと依頼される方は一読されると役に立つと思います。

もし読者の方々でお勧めなんぞあれば、とてもうれしいのですが…。

書籍「実は悲惨な公務員」

前述の通り、帰省にはかなりの時間がかかるので、適当に本屋さんで選んだ本を読んでいました。その本は「実は悲惨な公務員」という、公務員は大変なんだぞ!と訴えかける本w でも、読んでみると公務員のしている仕事がどんなものか分かったりしてなかなか勉強になりました。

よく公務員が仕事をすると非効率で仕方がないとか、家族の中で1人でも公務員がいると家計が安定するよねといったことはちらほら言われています。そう言われる所以はどうしてなのかをこの本では解説しています。公務員の給与といっても実は上場企業なんかと比べるとそれほどでもないんだよ、とか、クビがないと言われているけど法律的にはクビにすることもできて*7、事実上の解雇も最近では起こっているんだよ、とか。

個人的に印象深かったのは、公務員の仕事の中でもセイホといわれる部門でしょうか。セイホといえば生命保険かな?と思ってしまいがちですがそうではなくて、生活保護のお仕事を指すのだそうです。いろんな人の苦境を見ていると、ストレスもたまりそうですね?。

全体的に、数学の反例のような形で公務員を紹介されていたので、なんだか胡散臭いな?と思ったりしなくはないのですが、それでも「北風と太陽」のお話のように、批判ばかりではなく別のところにも着眼すべきなのかな?とも感じました。

小説「封印再度」

森博嗣のS&Mシリーズ第5作目、封印再度を読んでみました。
この小説で鍵となるのはなんと言っても無我の匣*8と天地の瓢*9でしょう。無我の匣はほとんど装飾のない開かずの箱で、天地の瓢は中に鍵が入っている細長い壺のことです。壺に入っている鍵は取り出すことができず、ボトルシップのような状態になっています。

この2つの謎を代々受け継いできた香山家に、突如として殺人が起こります。香山家の長で画家でもある林水が、死体となって発見されます。見つからない凶器、漠然としたアリバイ、事件が起こった動機など、分からないことが多く解決には向かいません。そんな中、西之園萌絵が事件を解き明かそうと調査に乗り出します。


で、この小説を読んで思ったのは自分がこれまで読んできたS&Mシリーズの中で一番突拍子もない謎だったなってことです。2つの謎もそうだったし、事件そのものも全貌が分かれば予想外な点ばかりでした。また、萌絵が思いついた推理自体も結構すごくて、よくこんなことが思いつくな?と思いましたね。

登場人物の中で、香山祐介が個人的には好きでした。たま?にしか出てこないんですが、笑い方がいいなと。実際にけけっと笑う子を見てみたいです。

書籍「三国志(一)」

神からのお告げ(?)で、三国志を読んでみることにしました。適当に図書館を歩いていて見つけたのが、この吉川英治が著わした作品です。三国志演義の流れを汲んでおり、蜀の皇帝となる劉備を中心としています。

本作品では、後漢末期に劉備が関羽、張飛と桃園の誓いを立てるところから始まっています。野望高き董卓が漢の皇帝に代わって政治を行いはじめ、首都である洛陽を長安に移します。そこで劉備達は、当時董卓を打倒しようと兵を集めていた曹操の軍に混じって洛陽まで進軍します。しかし、すでに洛陽は廃墟に。しかも、曹操が集めた諸侯軍は内輪もめのためひとまず洛陽に停留することになってしまいます。

さて、ここまで読んでみての感想ですが、かなり難しい表現もあったりして若干読みにくかったです。この作品が書かれたのが20年ほど前ということもあるんですけどね。でも個人的にはこういった語彙の幅がある作品には惹かれるものがあるので、ちょこちょこ調べつつ読み進めていました。故事とかも出てくるので、勉強になりますね。

また、こういう歴史を知っていると、友達がよくやっていた某ゲームも面白そうだなって思いました*10。また、登場人物について調べてみると面白い経歴を持っていたりして、新しい発見がいくつかありました。奥の深い作品です。例えば、関羽が予想以上に人気が高かったりとか。

近くの書店に行ったら続きを売ってなかったので、続編を読むのはしばらく先になりそうです。とりあえず注文はするだけしてみます。

[wiki] 三国志 - Wikipedia
[wiki] 劉備 - Wikipedia

書籍「オトナ語の謎」

以前読んだ「言いまつがい」と同じ人が監修の「オトナ語の謎」を読んでみました。
この本では、学校では教わることはないけど社会人になるととたんに使われだす言葉を紹介しています。これも「言いまつがい」と同じく、結構面白い本です。

[blog] 書籍「言いまつがい」 - LostMemories

例えば、ここで紹介されている語をひたすら長々と続けた文として「きんきんにとんとんにしたいのですがゴタゴタ続きでばたばたしておりましてカツカツだというのがいまいまの状態ですからコミコミとなると無理矢理やるしかないんですよね...」とか。こんな長文言ってる人いるんだろうか?と社会人1年目は思ったりします。ですが、けっこう使われている語も紹介されています。「水平展開」なんかがいい例。学生の時はまず使わないですよね?。

というわけで、ひととおり読んでちょっと勉強になったtetsuでした。社会人じゃない人も、それなりの読み物として楽しめます!

書籍「スキマ時間勉強法」

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  • 書籍
  • 時間, 勉強
今までの学生生活では毎日電車に乗ったりとか、時間にすごく困ったりといったことはなかなかありませんでした。しかし、社会人になって働き出すと、平日はほぼ会社と家との往復で、なかなかまとまった時間をとることができません。まとまった時間が取れないなら…せめてちょっとした時間=スキマ時間を有効に使ってよりよい生活を送ろう!と思って読んでみたのがこちら、「スキマ時間勉強法」。
日常の限られた時間をどうやったら有効に使えるかといったことを分かりやすく提言しています。

こういった本のいいところは、目次とちょっとしたリードを読めば全体像がすぐにつかめるところ。ただ単にどうすればいいかを知りたいだけなら、かなり短時間で知識を得ることが出来ます。そういった意味では、以前読んだ「1日30分を続けなさい!人生勝利の勉強法55」とほぼ同じ部類に入ります。

で、本の内容を2つにまとめると、「必要な部分は削ってはいけない」ということと「時間感覚を持って、1つの作業にどれくらいの時間がかかるかを把握しておく」に集約されると思います。後は方法論になるので、より詳細に知りたい方は実際に読んでみるといいと思います。真面目に読んでもそれほど時間はかからないでしょう。

小説「笑わない数学者」

ここ最近読み込んでいる森博嗣の第3作目、「笑わない数学者」を読んでみました。4つの数字を用いてある数字にするといった、ちょっとしたクイズも盛り込まれていたりするので、もし数学に自信がある方は挑戦してみてください。

ちなみに、これまで読んだ森博嗣の作品の感想はこちら。
[blog] 小説「すべてがFになる」 - LostMemories
[blog] 小説「冷たい密室と博士たち」 - LostMemories

この作品では、大学の助教授である犀川創平と大学生の西之園萌絵が、天才的な数学者である天王寺翔蔵に会うために三ツ星館を訪れることから始まります。この三ツ星館は非常に変わったデザインになっていて、オリオン座の三ツ星を象徴するような間取りになっています。一風変わったこの館でまた犀川と西之園は殺人事件に巻き込まれてしまいます。

[wiki] 笑わない数学者 - Wikipedia

この作品の中で、犀川と天王寺博士が殺人事件の核心となる会話をするのですが、そこで天王寺博士がひたすら「不定だ」というシーンが緊迫感があって面白いですね。ここでいう「不定」というのは、有限個に解を特定することができない状態のことを指しています。殺人犯に対してこの「不定」という言葉を用いれば、それはつまり誰でも実行可能だという意味になるわけですね。ただし、ここでは対象は犯人に対して使っているわけではないですけどねヽ(´ー`)ノ 詳しくは本編をどうぞ。

オリオン座が消える謎は、実はかなり初めの段階で気づいてしまったので、どうして作品中でそういう解がなかなか出ないのかがちょっと不思議でした。でも、やっぱりどんでん返しのような展開もあって楽しめました。

また、別の作品も読んでみたいのですが、古本屋においてなかったので、次は違う人の著作に挑戦したいと思います。

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