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新書「美しい国へ」

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小泉首相の後継候補として注目を浴びている安倍晋三氏の著作「美しい国へ」。これを読めば、彼の提案している政策について理解が深まるかも、と思って読んでみました。

ですが、正直言ってこの本はあまりお勧めではありません。なんとなく言いたいことは分かるのですが、全体として述べたいこと、つまり本の主旨が分かりにくい印象を受けました。細かくトピックとして挙げられていますが、毎回「主張」→「それを裏付ける例」→「結論」みたいになっていて、単調で説得力に欠けているように思います。せっかく章立ててあるのに、もったいないです。もっと強調すべき点を詳細に記してあったほうが、分かりやすいと思います。

また、とりあげる例もいろんなところから引っ張ってきているので、都合がよいものばかり選んだように感じられて、やや嘘くさい感が否めません。せっかく1章では昔から順番に並べているんだし、一貫性のある例を用いたほうがよかったのではないでしょうか。

もし今からこの本を読むという方がいるなら、あまり期待はしないほうがいいかも。あと、読む時は裏づけとなっている根拠が必ずしも正しいわけではなく、ひとつの解釈として受け止めるようにした方がいいと思います。

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小説「ダ・ヴィンチ・コード(上)」

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映画にもなってさまざまな話題を巻き起こした「ダ・ヴィンチ・コード」。映画はなんだか微妙という感想が大半を占めていますが、小説の方ではどうなのでしょうか。ちょっと乗り遅れた感もありますが読んでみました。

で、その感想なのですが、ダ・ヴィンチの絵画を作品に用いた推理小説、と単に受け取ることもできそうです。普通の推理小説として読んだ方が面白いのかも。でも上巻だけではなんともいえません。よくある推理小説なんかの筋書きだと、事件を解決する主人公が事件を解くきっかけを発見するところまで書かれています。これからの展開に期待します。

小説「時をかける少女」

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最近映画なども作成され、人気を集めている小説「時をかける少女」。筒井康隆が執筆した短編小説で、テーマ自体はそれほど目新しいというわけではないですが、タイムトラベルがどのようなものかを想像させてくれる、読みやすい作品です。

作品の解説などはWikipediaにゆずるとして、読んでみた感想はちょっと物足らないな?といった感じ。もう少しいろいろと書かれているともっと面白いかな、と思いました。最近、長編ばかり読んでいるせいか、どうも短編になるとあっさりしすぎるように感じられます。登場人物の表情とか、周囲の情景とか。主人公が体験した出来事なんかがもっといろいろと書かれていたりすると、個人的にはよいです。

とはいえ、短編だから悪いというわけではなくて、完成度は高いと思います。最後には、未来がどうなっているかということも書かれていて、現実にこうなるんだろうか?と思うと、いろいろと想像できて楽しいです。この作品で示されている未来像が良いか悪いかはその人の捉え方次第といったところですね。

小説「学園キノ」

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「学園キノ」というのは、「キノの旅」の主人公であるキノが学生生活を送るとどうなるか、というテーマで書かれた小説です。いわゆるスピンオフと呼ばれる作品の1つなんですが、はっちゃけ具合がけっこう面白くて、読んでいて楽しいです。

一応、キノの旅を読んでいなくてもそれはそれで楽しめますが、できればこの人の著作を1つでも読んでみると雰囲気が分かってよいかもしれません。個人的には「アリソン」がお勧めです。てか、この人(時雨沢 恵一さん)の代表作といえば、「キノの旅」「アリソン」といった感じなんですけどね^^;でも、どの作品も読んでいて楽しいですよ。

やや分量がありますが、難しいことは全然書いてないのでとっつきやすいと思います。銃が好きな人や、キノの旅が好きで好きでたまらない人ならきっと楽しめるはず。軽い作品が読みたいならどうぞ手に取ってみてください。

小説「人間失格」

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このタイトルはきっと聞いたことがあると思います。太宰治の代表作のひとつ、「人間失格」を読んでみました。実は、太宰治の作品は教科書で読んだくらいしかないのですが、これまで読んだ作品とはかなり毛並みが違います。

この物語は、ある人物が3枚の写真のことを振り返るところから始まります。その写真には同じ人物が写されているのですが、今まで見たことがないような嫌な印象を与える笑みを浮かべていて、顔に特徴がなく、不気味な雰囲気に包まれていました。そんな人物が記した手記には、彼の過ごした生涯が書かれていました。他人を欺き、さまざまな過ちを犯した彼は、自分自身を「人間失格」だと言います。しかし、彼を思い起こす女性は「神様みたいないい子でした」とも・・・。太宰自身の人生も色濃く投影されている作品です。

読んでみた感想ですが、ここで描かれている人物は、人間の生活での矛盾点を的確についているように思えます。わりと淡々と書かれていて、ふむふむ、と思いながら読んでいたわけなんですが、かなり句点が少なかったので違和感を覚えました。でも、ストーリーの最後はどうなってしまうんだろう、と期待しながら読めたので、個人的にはすごく良かったです。鍵をかけられるシーンなどは、身近でガシャーンと重々しく鳴り響く音が聞こえたような気がして、一瞬周りを見回したりもしつつ・・・。

かなり有名な本なので、とても簡単に入手できると思います。新潮文庫のを買ったんですが、あまりに安かったので驚愕。これなら、もっと早くに読んでおけばよかったと思いました。

小説「陽気なギャングの日常と襲撃」

伊坂幸太郎の作品の中で、4番目に読んだ作品がこの「陽気なギャングの日常と襲撃」。この作品は、「陽気なギャングが地球を回す」の続編に当たるもので、おなじみの4人組の銀行強盗、成瀬、響野、久遠、雪子が今回も予想外な展開を見せてくれます。

今回も彼らは銀行強盗を企てます。いつものごとく響野の演説のもとで、5分間での強盗を成功させます。しかし、その銀行で起こっていた事件は強盗だけでなく、彼らとは別にもうひとつの事件がひそかに実行されていました。それは「社長令嬢誘拐事件」・・・。つながりがないと思われていた事件に隠された伏線。誘拐事件に首を突っ込んだ彼らが取った行動とは?そして迎える結末とは?4人のギャングが繰り広げる痛快なやりとりと予想外な展開。最後まで飽きさせることのない軽快なサスペンスです。

個人的にこのシリーズで気に入ってる言葉が「ずるずる人」。ずるずると流れに巻き込まれ、にっちもさっちも行かなくなる人たちのことを指すらしいです。で、どうやらずるずる人は、極悪人に弱みを握られて犯罪を犯してしまうとのこと。ぜひそんなことにならないように気をつけたいですね^^

一応、前作を読まなくても楽しめる作品ですが、多分読んでおいた方がもっと楽しめると思います。少し前に、前作を題材にした映画も作られたらしいので、また観れたら感想を書きたいと思ってます。

小説「死神の精度」

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このブログで伊坂幸太郎の作品を取り上げるのも3回目です。1人の作家の作品をずっと読んでいくと、いくつか共通点が見られて面白いです。まったく違う内容の作品であるにもかかわらず、どこかで感じた雰囲気が感じられたりするのが心地よいというのか、安心して読んでいけます。「死神の精度」という作品は短編なのですが、一緒に書かれている作品ともちょっとしたつながりがあって、それを発見するのも1つの楽しみ方です。

さて、この「死神の精度」という作品は、人間の姿をした死神・千葉からみた、人間の数日間の生き方を描いた物語です。彼に課せられた使命は、対象となる人間が本当に死んでもいい人間かを見極めること。そのために人間に近づき、どんな生活をしているかを確かめます。彼が「可」と言えば、彼と出会って7日目に事件や事故に遭い、命を落とすことになります。しかし「見送り」と言えば、当分は死ぬことはないということです。

この物語で対象となる人間は、苦情処理をしているオペレータです。日々いろんな人に怒鳴られ、自殺願望もあるような女性です。まさに、死神の出番となったのは必然とも言えるでしょう。しかし、ある出来事がきっかけで、一筋縄ではいかない結末に。その思いもよらない出来事とは。死神が下した決定とは・・・。

死神を通して、さまざまな人間のストーリーを描き出した思いもよらない展開。リンクしてないようでどこかつながっているので、どこも軽く読み流すのは禁物です。長編が苦手な人でも読みやすく、手軽に伊坂ワールドを楽しめるので、ぜひ多くの人に読んでほしい作品です。

新書「人は見た目が9割」

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いきなりこんなタイトルでびっくりされても困るので、一応弁解をしておくと、この本は新潮新書から出版されている本です。かなりセンセーショナルなタイトルなので、どこかの本屋で見覚えのある方も多いかと思います。

さて、この本ですが、別に「人は見た目が9割だから、中身なんて重要ではない」ということを言っているのではなく、「人間のコミュニケーションは、見た目(ノンバーバル)の部分が多いから、それに注目してみよう」というような内容です。

人間のコミュニケーションが、言葉の内容より表情や態度によく現れるという話は、きっとどこかで聞いたことがあると思います。例えば、目を合わさずに話すと嘘をしゃべってることが多いとか。でも、この本の中では、女性は人の目を見て嘘をつくとか書いてあったので、いろいろなケースがあるんだと思われます。

書いてある内容も概論のような感じで難しくなく、量も多くないので、気軽に読める本だと思います。ノンバーバル(非言語)コミュニケーションがどんなものかを知ってみたいという方にはおすすめです。

小説「重力ピエロ」

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後輩から借りた本で知った、伊坂幸太郎さんの著作のひとつです。2003年に書かれた作品で、かなり注目を集めていたらしいです。(僕自身はホントに最近知ったんですが・・・。)

さて、この話はけっこう面白いです。300ページ強の長編なんですが、全体のどこにも無駄がなくて、最後の結末にどこか関わっています。「重力ピエロ」というタイトルも、空中ブランコで飛び回るピエロが一瞬重力を忘れるかのように、どんな困難なことでも乗り越えることができるということを示しているように思えます。

物語の内容は、「春」という血のつながりのない弟とともに、落書きと放火事件との関連を調べていくと、予想もしなかったつながりが見えていくというもの。落書きと放火事件のつながりが分かったときの驚きもさることながら、放火事件が終わった後のストーリーもかなり意外性に富んでいます。テーマ自体はなかなか重たくなりがちなことなのですが、それが明るく軽く伝わってくるのもいいところです。

僕の研究室にも関わりがあるバイオの話も出てくるので、ぜひみんなに読んでほしい作品のうちのひとつです。

小説「陽気なギャングが地球を回す」

後輩に、なんか面白い本ない?って訊いて、貸してくれた本がこの「陽気なギャングが地球を回す(伊坂幸太郎/祥伝社)」です。けっこう分厚いのですが、流れがよいのでさくさく読める本です。

タイトルにギャングと付くくらいなので、このストーリは4人の銀行強盗が主人公になっています。嘘を見抜くことができるリーダー成瀬、スリの名手・久遠、しゃべれば嘘しか出てこない演説の達人・響野、正確な体内時計を持つ雪子。共通点がないようなこのメンバーが、ある銀行を強襲し大金を奪おうとします。しかし、成功を手中に収めたと思われた瞬間、予期しない相手に邪魔をされてしまいます。

結局大金を手に入れることができなかった主人公たちは、彼らに一泡吹かせようと画策するのですが・・・。思いもよらない伏線が痛快な結末を導く、コミカルな雰囲気のギャング・サスペンスです。難しい話は出てこないので、きっと誰でも気軽に読めると思います。

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tetsuの日記・雑記です。
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